伊沢 尚|M1|20200428|研究発表+討議
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「東京湾埋立地からみる東京形成」
・江東区/小名木川周辺地区
・江戸期:ごみ処理令、振袖大火
〈議論〉
青井先生:history of land reclamation(landfill) つまり大地をつくることの歴史、と考えるとひろがりが出てくるなあ。
基壇/高床という話をさっきエナリの時にしてたけど、そもそも平らな土地をつくる、ということがある。
オランダなど、ヨーロッパの低地地方の埋め立てと排水の関係とか、木曽三川の輪中(わじゅう)とか。
石原:埋立地のでき方は、土壌の性質からくるものですか?
→出来上がった時代によって異なる。形態分析。
後半にできた埋め立て地だと、航路だったり、コンクリートで埋めたり。
ごみの埋め立てをそのまま使ってつくった埋め立て地だったり。でき方違う。
青井先生:技術内在的な特徴というか、制約というか、そういうものはどれくらい分かっているのか
鉄道アップダウンするようにはつくらない。どうしてもというときは
技術自体にそういうものがふくまれてたり
排水するのが難しい。排水とセットでないと、土地つくれない
和田:東京湾の埋め立ては物流との関係がひとつ大きいと思いますが、早稲田の渡邉大志さんががっつりやっていた気がします。
吉田:東京湾以外は物流じゃないものがある?物流じゃなくて、埋め立ての違う側面で、どこが気になるのか?
青井先生:物流、軍事、生産とかあるけど
→今のところ物流が面白そう、土地造成の技術が加わってくると面白いのかな。
青井先生:タイムスパン、どのくらいの時間を調べるのか
→江戸から現代かな
青井先生:浅草寺は海岸だよね。外側が全部埋められたから、川に見えてるだけ。
江戸はほとんど埋め立てられてる。江戸城は岬の一つ。本郷大地はもう一つの岬。それ以外はなかった。下町、ほぼ全部海だったよね。大阪の市街地も、1500年さかのぼれば、ほぼ全部海。瀬戸内はもともとあんまり埋められてなかったり。?どのスパンでみるか大事。
青井先生:木曽の輪中。農地島状になっている→排水対策
水があるところに船浮かべる。
耕作可能なエリアを2分の一つくる
根葉:埋立地ができ始めるのは日本ならではの発展ですか?
水原:一番最初に埋め立てられた紫のエリアが東京湾の沿岸部を一周せず途中でくぎれているのが気になりました
周辺にあった建築・施設との関係性でそこは作らなかったなどあるのでしょうか
滝口:ゲーテの『ファウスト』第2部の最後の方で、ファウスト人生最後の野望として、「土地の埋め立て観と新たな国土の形成」が出てきます。当時(19世期初頭)のヨーロッパの埋め立て感を示しています。
根葉:一般的に埋立地は住む人のためのものな気がしますが、海に対して埋め立てるからこそ環境的に良くなるなどがあったりするのかな、と思いました。
〈after session〉
青井先生:青井からのコメント
興味深いテーマだと思います。土地自体をつくり出すこと、その歴史。今日的意義。
昨年伊沢が取り組んでいた「コンテクスト」という視点と絡めていえば、土地自体をつくり出すという思想はどのように考えられますか?
滝口:『ファウスト』に関して追記ですが、ファウストによる「埋め立て」は、「新たな国土の形成」すなわち「新天地の獲得」あるいは「自然(海)の征服」と同義であったようです。この点から言うと、「領域」は自然から与えられるものではなく、人為的に獲得されるものでなければならないという、前回の私の発表後の青井先生との議論と関わってきます。
ファウスト的には、これは人間の可能性の拡張、あるいは新世界の創出といったテーマと結びついていたようです。
伊沢:@akihito aoi コメントありがとうございます。土地自体をつくりだす時、その時点の地形や状況をコンテクストとしてとらえて、さらに作られた土地によってさらに周辺のコンテクストが更新され、積み重なっていく点が面白いなとおもっています。その中で埋立地ができあがる時、何がコンテクストとなっていたかについても考えらなければいけないなとおもいます。 (編集済み)
伊沢:@滝口正明 コメントありがとうございます。たしかファウストは、1巻目を少ししか読んでいないのですが…悪魔が人間の根源的な欲望のようなものとして表されていたような覚えがあります。同じように埋立地を作ること、土地を作り出すことは人間の根源的な欲のようなものとしてぼんやりと考えていたのですが、ファウスト的なものは、より強い獲得欲のようなものとして明確に表されていそうですね。そのなかで、一度に大きな土地を作り出して獲得することと、少しずつ土地が造成されていくことにおいても違いがありそうです。 (編集済み)
青井先生:「低地」という概念で世界の都市を見直し、近現代の流通革命の話だけでなく、もっと大きな意味での歴史や文化を含んだ都市論ができるとよさそうな気がしています。
この2冊はぜひ一度読んでみてください。
ヨーロッパの低地地方について。
何冊か読むうちに、良さそうな本を芋づる式に広げていくと自分の読書世界のネットワーク図がひろがっていきます。
伊沢:@akihito aoi はい、参考文献ありがとうございます!都市論の方へも考えていきたいと思っているので、東京論に限らず今回の議論で出た他地方の例や埋立地だけでなく地形造成に関する観点などを含めて広げて読んでいきたいとおもいます。